子どもが安全に有益にインターネットを使いこなせるようになる為には、保護者だけが頑張れば良いというものではありません。
最終的には子ども自身がネットの危険性も理解し、必要な情報を取捨選択できる力を養なわなければいけません。
その為の情報モラルをどの子どももまんべんなく学ぶ場として最適なのは、やはり学校です。
小学校平成23年度から、中学校24年度から実施される新指導要領にはパソコンの時間だけでなく、様々な教科の学習の中で情報モラルについて取り組む記述があります。
しかし、子どもに情報モラルを教えるとなれば、ある程度ネットに精通していなければならない。尚且つ子どものネット事情(流行など)を把握していなければ、説得力のある教育は難しいと思われます。
ここ数年学校現場に出入りさせて頂く事が多くなり痛感するのは【マンパワー不足】です。
一保護者として学校を見ていた頃は「学校の先生って夏休みとか長期で休めるからいいよなー」なんてぼんやり考えていました。
しかし実際は違いました。夏休み等の長期休暇の間、先生方は研修や会議で大忙しです。
学期間は児童、生徒が学校にいる間、授業はもちろん、給食時間は給食指導、中休みや昼休みでさえ採点をしたり、生徒指導が入り、ゆっくりくつろぐ雰囲気ではありません。中学校になれば進路指導、放課後は部活もあります。
一般企業でOLをしていた経験のある私は、ランチに出る事もなく、子ども達と慌ただしく昼食を取り、コーヒーを飲む間もなく忙しくしておられる先生方の様子に愕然とする思いでした。
私どもに講演依頼をしてこられる学校様に「授業の中で情報モラルについて触れていらっしゃいますか?」とお聞きしても、まだまだ課題を抱えている状況が見受けられます。
「情報モラルにどう取り組んだら良いか話しをして欲しい」と職員研修を依頼してこられる学校様もありますが、「もっとネットを使い、知ってください」というのは、先生の日常を知っているだけに酷だと思います。
となるとどうすれば良いか。外部から指導者を派遣するしかないでしょう。
文部科学省が数年かけてICT支援員の配備をする構想があるようですが、現状は自治体によってICT支援員は全くいない、限定した学校しか行っていない、全校行っていると違いがあります。全校ICT支援員が配備されるとしても、それまでの間、子ども達はネット社会に翻弄されて生きて行くのです。
以前事業仕分けで理科支援員が廃止となりました。それだけ学校教育で使える予算も厳しいということでしょう。しかし、子ども達はインターネットと共に育って行きます。きちんと導かないと心や体を傷つけられたり、時に命に関わる問題に発展します。
子どもに1人1台PCを使わせるICTフューチャースクール推進事業も全国で数校行われていますが、情報モラル教育ありきのデジタル学習だと思います。そこがどのように指導されているのか知りたいところです。
学校と家庭の二本立てで情報モラル教育をするということは、今は壮大な夢でしかありません。しかしこの難題の解決は急務です。子どもの健全な育成のために。