博多座談会でお知り合いになりました田中 康平氏(株式会社ネル・アンド・エム 代表取締役)が関わっておられる佐賀市の高岸幼稚園に伺いました。
その日は幼稚園のオープンスクール。入園を検討されている親子が園で取り入れているICTタイムの体験をしていました。
教室には大きなスクリーンがありました。まずは園の先生による絵本タイムから。
いわゆる読み聞かせなのですが、絵本はiPadを通して大きくスクリーンに映しだされます。機械が読むのではなく、先生の温かい声で物語が進んで行きます。
時々絵本の主人公が動いたり、ちょっと効果音が加わったりします。
子ども達は興味深く物語に入り込んでいるようでした。
その後は絵本づくりチームと折り紙チームに分かれての活動です。
絵本づくりチームは、アプリを使って画面の中からキャラクターや背景を選び、ストーリーを自分の頭の中で作り上げながら絵本のページを創っていきます。
タップしてスワイプして。子どもはあっという間に操作を覚えます。
折り紙チームはiPadの画面に出てくるたくさんの折り紙の折り方の手順を見ながら、実際の折り紙で動物さんを一生懸命折り、画用紙に貼り付けていました。
活動が進んだところで発表タイムです。
絵本チームは作った絵本の画面に自分の声でセリフまで録音していて、立派なストーリーが出来上がっていました。
折り紙チームも画用紙一杯に貼られた動物園を自慢気に見せていました。
園の先生から「どこをがんばりましたか?」と聞かれ、自分の意見をしっかり発表し、皆さんから拍手をもらった後のちょっと鼻をふくらませて自慢気な表情はとてもかわいいものでした。
実際に園児が取り組んでいるICTタイムでも1人1台タブレットを使うわけではないそうです。
アプリはゲーム的なものは少なめ。想像力や表現力を高めるもの、実際の創作活動と連携させて使えるものを選んでいるそうです。
子どもとのお約束は【まつ・みる・おうえんする】。
これを事前にしっかり話してお約束させることで、1人1台なくても、使っている子を見て学ぼうとし、友だちがスクリーンの前で発表する時は応援の声で盛り上がるそうです。
園の理事長先生からもいいお話しを聞けました。
「我々は英才教育をするつもりはない。たまたま田中氏から提案してもらいICTタイムを取り入れてみたが、予想外に子ども達に色んな変化が見られた。待てないのが子ども、遊具の取り合い等があるのが普通だが、ICTタイムにはそれがない。それどころか普段の遊びの中でも譲り合いや互いを尊重する行動が見られるようになった。普段コミュニケーションが苦手な子も、ICTタイムでみんなの前で立派に発表をした時には我々も驚かされた。絵本の読み聞かせも大きなスクリーンに映し出されることで、子どもも隅々まで見たいという意欲が生まれるのか、目を見開いて物語に入り込んでいる姿が見られる。料理に塩をひとつまみ入れれば味が深まるのと同じように、我々は【ひとつまみのICT】だと思っている。ICTを上手に活用することで教育に広がりが出るような使い方を模索している」とのことでした。
オープンスクールの最後には田中氏より、今のネット社会と子育世代の現状、ICTをうまく取り入れるコツについて保護者へアドバイスもありました。
親が使っているスマホやタブレットを使う場合も多いでしょうからパスワード管理や機能制限をしっかり設定する事。できればお膝にだっこしながら一緒に楽しんで欲しいこと。砂時計で使う時間を見える化して子どもがお約束を守れる工夫する等、ためになるお話しばかりでした。
アプリの良し悪しも一概に評価することはできません。レビュー等を参考にするのも良いですが、一番目安になるのは子どもの様子をよく見ることだそうです。
ゲームや動画だけがスマホやタブレットの使い方ではありません。親子でわくわくする使い方を見出してほしいですね。
次回は啓発の形を考えてみようと思います(続く)
【シリーズ】乳幼児にスマホやタブレットを使わせる親をどう思いますか?『スマホに子守り問題』
(4)啓発の形を考える
(1)私の時代はビデオを責められていた
(2)博多で白熱議論
(3)iPadでICTタイムを取り入れている幼稚園
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