10代の子が起こした殺人事件にLINEが使われていたと、連日マスコミがLINEを取り上げています。
ワイドショーで10代の女の子に街頭インタビューをしていました。
彼女らは「メールよりLINEの方が感情がそのまま出る」と言っていました。一人ではなく、何人も。そしてその感情とは「負の感情」を表しているようです。
今までも「ネットの中だと本音が言える」という子どもの声を多く聞いてきました。
例えば悩み事や心の中のモヤモヤがある時に、リアルにつきあっている友人や家族に話すと後々面倒くさい。
ネットだったら、顔も知らないけど話しを聞いてくれる人や場がいくらでもあるし、自分の身元を明かさなくていい。面倒くさくなったらそのサイトやサービスを使うのをやめればいいのです。
今はしがらみも後腐れもないライトな人間関係で終わることのできる「ネット」があるので、実生活で抱えた問題をそこで紛らわせることができてしまうのです。まぁ根本的な解決ではなく、その場限りの紛らわしが多いでしょうが。
人と交わるということは、他の違う考えに遭遇した時、主張したり受け入れたりを繰り返しながらわかりあっていくものだと思います。
その主張の中にも他を尊重する気持ちや理性が必要です。
顔を合わせて話している時は相手の表情、声の抑揚、身振り手振りも確認できますから、それに合わせて自分の発言を無意識にコントロールしているのだと思います。
しかし、ネットの中で、文字だけで会話をする時はとかく自分本位になりやすい。
皆さん、こんな経験ありますよね。メールを送る時に一瞬「いや、この言葉は適切じゃないな。違う表現にしよう」と書きなおすこと。
その一瞬の立ち止まりはもしかしたら非常に重要なものかも知れない。
LINEでの会話はとてもスピード感があり、それが魅力です。
しかし、その一瞬の立ち止まりがないが為に、相手を思いやるステップが省かれ、負の感情そのものをぶつけてしまうのであれば。思いがけずケンカになったり、挙句の果てに殺人事件に発展するのであれば。
まだまだ自己形成されていない子ども達に「ネットの中でも上手にコミュニケーションしなければならない」と口で教えても本当の理解に結びついていないでしょう。多くの人と交わり、問題が起きた時に解決しようと努力をする、そんな経験をしていかないとわからないでしょうから。
便利すぎる今の時代を生きている子ども達。ネットのトラブルで友だちをなくしたり、傷つけあったり、命を奪ったり。一度の失敗が一生悔やんでも悔やみきれない事態になる。そんな綱渡りの中でネットを使っている子ども達を私は可哀想だと思っています。
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